多文化な日常における防災 ―『いつも』と『もしも』をつなぐ

同志社大学人文科学研究所第99回 公開講演会

多文化な日常における防災
―『いつも』と『もしも』をつなぐ

日時: 2021年6月13日(日) 14-17時
開催方法: ZOOMによるオンライン開催
要申込、参加無料(定員100名)
【申込締切】2021年6月10日(木)

問合せ: ji-jimbn@mail.doshisha.ac.jp
主催: 同志社大学人文科学研究所

日本国内に住む外国人は令和2年現在約288万人となっており、今後も外国人の流入と定着化はますます進むと予想されます。 しかし、日本社会において、外国人の目線からみた安全・安心な居場所の確保や情報の提供、共生に向けた施策はいまだ十分ではありません。とりわけ、コロナ禍の現在、また阪神・淡路大震災や東日本大震災以後、緊急時の避難や日常から切り離された環境下における生活支援において、在日外国人は言語のみならず、さまざまな課題に直面し、解決にむけた行政や専門家、NPOや市民による連携と対応が迫られています。
本講演会では、どうすれば多文化な暮らしをする人たちと災害時にもつながることができるのか?多文化な日常にはどんな場面があり、その多様性とは?といった身近な暮らしのなかで外国人とのつながりと災害時における課題やセーフティネットについて話題を共有します。文化人類学者・地域研究者と防災研究者、さらに外国人市民が実践、研究事例を報告し、パネリストとのディスカッションを通して、平時のみならず、災害等のリスクをも包摂した多文化共生にむけた持続可能な社会を考えていくことをめざしています。

プログラム

第1部 趣旨説明・話題提供 14:00-16:10

face ラムザン ミルザ (Mirza Ramjan)
「外国人コミュニティと災い ― コロナ禍の八幡モスク」
宗教団体イスラミックリサーチセンタージャパン(IRCJ)代表役員。ひかり商事代表取締役社長。1965年バングラデシュ生まれ。1990年、日本に来日し自動車関連貿易事業、太陽光パネル発電事業を立ち上げ。2017年、念願のモスクとなるIRCJを設置(京都府八幡市八幡三反長24番地8)し現在に至る。京阪神から国籍を問わず広く礼拝を受け入れ、在日ムスリムが抱える諸課題に向き合い、心の拠り所となるモスクを目指す。永続的な活動を行うため八幡市民との共生を理念とする。

face 阪本真由美 (Mayumi Sakamoto)
「災害時における外国人の避難をめぐる課題」
兵庫県立大学大学院減災復興政策研究科教授。専門は防災教育・災害リスクコミュニケーション。 災害によるリスクをわかりやすく伝えるとともに、被害を軽減するための方策を研究している。在エル・サルヴァドル日本大使館専門調査員、国際協力機構(JICA)、人と防災未来センター、名古屋大学減災連携研究センターを経て現職。共著に帝国書院編集部編『わかる!取り組む!災害と防災1地裳』(帝国書院、2017)、翻訳に『災害の倫理』(ナオミ・ザック著、勁草書房、2020)など。

face 李仁子 (Lee Inja)
「災害時の外国人のボランティアは積極的な防災になりうる」
東北大学教育学研究科准教授。百済の都・扶余(ぷよ)に生まれ、大学卒業までは韓国で過ごし、日本に留学。在日コリアンが日本に建立する墓や年老いた在日一世たちの強い郷愁、死後の環境整備への熱意に触れ、彼らの人生や想いをそこに読みとりながら、修士・博士論文を書き上げる。その後、東北大学の教員となる。主な研究は、「移動する人たち」に関する文化人類学的研究を行っている。現在は石巻市沿岸部をフィールドに、震災によって故郷を離れざるを得なかった人々の調査研究に取り組んでいる。「移住者にとっての故郷と故郷離れ」新谷尚紀、関根康正編著『排除する社会・受容する社会』(吉川弘文館、2007)、「被災地での外国人の支援活動」『日本批評』(ソウル大学日本研究所、2013)など。

face 内田睛子 (Haruko Uchida)
「『外国人』とは誰か ― 日常の出会い・災害時の出会い」
公益財団法人世界人権問題研究センター登録研究員、関西大学人権問題研究室嘱託研究員。 在フィリピン日本国大使館専門調査員、国立フィリヒ°ン大学第三世界研究センター客員研究員などを経て現職。日本に転居してからフィリピン系の子どもの在籍する学校や地域の居場所でのサポートに関わり始める。職場では「人権教育」を経て「移住者と人権」プロジェクトを担当、誤解され忌避されがちな「人権」を話題にすることを恐れずに、防災のことを考え、話したい。ブック レット『考えたくなる人権教育キーコンセプト』(共著、公益財団法人世界人権問題研究センタ ー)など。

face 小山真紀 (Maki Koyama)
「日常と災害をつなぐために ― 各地の取り組み事例から」
岐阜大学流域圏科学研究センター准教授。専門は地域防災学・災害時の人間行動と死傷に関する研究、コミュニティや市町村の防災対応など事前・最中・事後を通じた減災に関わる研究、世帯及び地域コミュニティにおける防災力(世帯・地域コミュニティの災害に対するレジリエンス)や、社会の多様性が広がる中、それぞれの事情に基づく困難さや対応のあり方などに着目した取り組みを進めている。小山真紀・相原征代・舩越高樹編『生きづらさへの処方箋』(ナカニシヤ出版、2019)、共著に日本家政学会編『住まいの百科事典』(丸善出版、2021)など。 地域防災の取り組み支援のためのオンライン講座「事例に学ぶ災害対策」、「事例に学ぶ災害対策ー要支援者対策編」をYouTubeで配信中。

第2部 パネルディスカッション 16:20-17:00

face 王柳蘭 (Liulan Wang-Kanda)
同志社大学グローバル地域文化学部准教授。専門は文化人類学、移民研究。神戸に生まれる。はじめて行なったタイ/ミャンマー国境域でのフィールドを起点に、現在は日本の多民族コミュニティにも関心を広げている。「ディアスポラ・コミュニティの再構築と信仰の継承一神戸華人とクリスチャン」『辺境コミュニティの維持ー島嶼、農村、高地のコミュニティを支える「つながり」』本村真編著(ボーダーインク、2020)、「ピンチをチャンスに一『文化人類学』からの処方箋」小山真紀・相原征代・舩越高樹編『生きづらさの処方箋』(ナカニシヤ出版、2019)、『越境を生きる雲南系ムスリムー北タイにおける共生とネットワ ーク』(昭和堂、2011、地域研究コンソーシアム登龍賞)など。

【主催】
同志社大学人文科学研究所
TEL 075-251-3940
Email ji-jimbn@mail.doshisha.ac.jp

【共催】
同志社大学人文科学研究所第13研究会

【後援】
清流の国ぎふ 防災・減災センター
地域研究コンソーシアム(JCAS)
韓国学中央研究院韓国学振興事業団海外韓国学萌芽型事業(THE ACADEMY OF KOREAN STUDIES)
生きやすさ応援実行委員会